ノート e-POWER(ノートイーパワー)は「電気自動車の全く新しいカタチ」をテーマに発売された車です。
2代目ノートの派生グレードとしてデビューをしたe-POWERですが、これまでのクルマの概念をくつがえす性能をほこります。
今回は、ノート e-POWERに試乗した上で、室内空間・シートの乗り心地・走行性能を徹底レビューしていきます。
最期はメリット、デメリットも分かりやすくまとめました。
本記事は、日産の元ディーラーが解説をしています。
目次
室内空間を試乗レビュー(運転席、後部座席)
最初は室内空間の試乗レビューです。
基本的にグレードによって室内の広さが変わる、ということはありませんが、内装の質感や装備が若干異なります。
ここでは、ノート e-POWERの各グレードの特徴も踏まえて評価していきます。
室内空間の広さは大きな魅力
コンパクトカーを買う時に最も重要視されるのが「室内空間の広さ」ではないでしょうか。
ノート e-POWERは、「広い室内空間」が最大の売りとも言えます。
運転席や助手席に関しては申し分のない広さで、175cmくらいの男性であれば余裕で乗れるレベルです。
後席はコンパクトカーと思えないほど広い
ノートの室内空間で最も特筆すべきポイントは「後席の広さ」です。
特に足元の空間に関していうのであれば「コンパクトカーなのにこんなに広くなるの?」と思えるくらい広いです。寸法で話すとわかりにくいと思うのでわかりやすく説明をすると、「男性が足を組める」ほどの広さです。
感覚的に言うと「標準的なタクシーの後席の広さ」というとわかりやすいかと思います。
さすがに前のシートを最大まで下げた状態だと足を組むのが難しいですが、ちょうど真ん中ぐらいのシートポジションであればとても広く後席を使うことができます。
もちろんフロントシート全下げであっても「コンパクトカーとは思えない広さ」です。
e-POWER Xは明るい気分になれる
e-POWER Xはノートにおけるもっとも一般的なグレードです。
一般的、ということで万人受けしやすいデザインとなっています。
シートは白と黒のコンビシートで、ドアトリムなどに白生地を採用しています。コントラストが非常に美しく、実際に乗ると明るい気分にさせてくれます。
e-POWER MEDALIST(メダリスト)は上質そのもの
e-POWER MEDALISTは、ノート標準車の上位グレードに位置しています。
このグレードは、E12型にモデルチェンジと同時に統合という形でラインナップから姿を消した「ティーダ」の実質的な後継グレードとなります。
ディーダでは「上質な空間」をコンセプトに革を用いた内装などを売りにしていました。
e-POWER MEDALISTでは、そのコンセプトを踏襲してシートに革とスウェード調のものをチョイスするなどされています。ePOWER Xには標準装備されていない運転席アームレストや、特別装備の後席アームレスト&ドリンクホルダーが装着。
e-POWERに上質な乗り心地を求めるなら、こちらのグレードがイチオシです。
シートの座り心地を試乗レポート
内装の感じがわかったところで次に気になるのが「座り心地」だと思います。
これは、e-POWER Xもe-POWER MEDALISTもさほど変わりません。
ここでは、フロントとリア(後部座席)に分けてご紹介します。
フロントシートの座り心地
まずフロントシートに関してですが、一言でいうと「ホールド性が強い」といえます。
しっかりと身体を支えてくれるので、カーブでの安心感が非常に強いです。
デメリットとしてはホールド性が強いため窮屈に感じるということ。
体格のいい方は窮屈に感じる可能性が高いので、一度座って確かめることをおすすめします。
リアシート(後部座席)の座り心地
次にリアシートです。
ノートは5人乗りですが、ぶっちゃけた話「リアに3人は厳しい」作りとなっています。
「いちおう5人乗れる」くらいに思っておいた方が無難だと感じます。男性3人がリアシートに座ると肩身の狭い思いをしてしまいますので、もし5人乗るのであれば、1人が女性か子供だとよいでしょう。
コンパクトカーは「5人乗りだけど4人乗りが前提で設計されて」います。
ノートはこれに例外なく、リアシートに2人掛けが理想的ですね。
ノートイーパワーの走りを徹底試乗レビュー
電気で動く車と聞くと、気になるのは走行性能かと思います。
ノートe-POWERには明らかに従来のガソリン車とは異なった走行性能があり、個人的にノートe-POWERの魅力は走りに凝縮されていると感じています。
そして、それこそがノートが日本一売れている要因であると断言します。
ここでは、ノートe-POWERの走り心地を試乗レポートしつつ、何がすごいのか?徹底的に解説していきます。
「モーターで走る」心地よさがある
電気自動車の走行性能の最大の“キモ”は「モーターでの走行」です。
ノートe-POWERは、日産の電気自動車「リーフ」で培ったノウハウを応用して作られています。モーターで走ると聞くと、ちょっと非力そうなイメージを持たれるかと思います。
ですが、そのイメージは大きく覆されます。
モーターはエンジンでの走行とは違い、「アクセルを踏むと即座に最大トルクを発揮する」ことができます。それに加えて、ノートe-POWERに搭載されているモーターは非常にパワフルなものとなっていて、コンパクトカーとは思えない驚異的な加速が生まれます。
やみつきになる強力な加速感
エンジン排気量でいうなら2000ccクラスの最大出力を出せるモーターですので、軽量なボディと組み合わせられることでさらに強力な加速感を味わうことができます。
遊園地などでゴーカートに乗ったことがあればわかるかと思いますが、ノートe-POWERの加速はゴーカートに近いものを感じるかと思います。
一度乗れば「モーターによる強力で心地よい加速感」を味わうことができるだけでなく、その魅力にとりつかれて他車は乗れなくなるかもしれません。
足回りが頑丈で安定感が半端じゃない
ノートe-POWERは、ベースとなっているガソリン車のノートとは足回りの設計が違います。
その理由は「重量」にあります。
駆動用モーターやバッテリーを搭載することにより、ベース車よりも重量が重くなっています。そのため、e-POWER専用に強化された足回りを組み込むことが必須となります。
そのため、ノートe-POWERに搭載されている足回り部品は「より頑丈」かつ「より硬め」になっています。硬いといっても不快に感じられるものではなく「非常に信頼できて快適な走行ができる」ものとなっています。
ベース車よりもコーナーでの踏ん張りがきくため、運転フィーリングが向上しているのです。
エンジン駆動時の静粛性も高い
ノートe-POWERはバッテリーに充電された電気を使って走行する車です。1200ccのエンジンが搭載されていますが、これは「充電にのみ」使われるものです。
バッテリー残量が低下すると、このエンジンが駆動することで充電されます。エンジンが作動して充電をしているときは、もちろん動作音が聞こえます。
ですが、不快になるレベルの音ではありません。ガソリン車に乗っていてちょっと加速をしたくらいのエンジン音がする程度ですので全く気にはなりません。
「ノートe-POWERはエンジンの音がうるさい」などと評価している人もいるようですが、一切気にする必要はないでしょう。
濡れた路面での静粛性は低いので注意も必要
試乗して感じるE12ノートの欠点は「濡れた路面での静粛性」です。
ノートは、お世辞にもタイヤハウスの消音機能が高いとは言えません。タイヤが路面から巻き上げる水しぶきの音が非常に不快です。特に後席に座ると顕著にわかります。
ノートe-POWERでは、標準車と比べればタイヤハウスの静粛性が高められていますが、完璧に静かになったとは言えません。
この音が気にならないレベルだという人もいれば不快だと思う人もいるので、一度雨天時に試乗してみることをおすすめします。
慣れると楽しいワンペダルドライブ
ノートe-POWERに搭載されている先進装備としてワンペダルドライブがあります。
これは、ブレーキを使うことなく「アクセルペダルのみで加減速ができる」機能です。
アクセルを踏めば加速しますし、アクセルを離せばブレーキがかかります。
慣れるまでは気持ち悪さを感じるかもしれませんが、慣れると「ブレーキペダルってなんだっけ?」と思ってしまいます。この機能はスイッチでオン/オフできますので、通常通りの運転をしたい場合にはキャンセルできる点も良いポイントですね。
市街地と高速での乗り心地をレポート!
走行性能の次に気になるのが、使用状況による乗り心地かと思います。
ここでは、市街地と高速に分けて試乗レポートをしていきます。
市街地での乗り心地は文句なし
市街地では基本的に快適に感じます。
ストップ&ゴーが多いところではモーターの気持ちの良い加速を体感することができますし、あまりエンジンが駆動しないのでとても静かです。
チョイ乗りが多い使用状況だとこまめにエンジンが動きますが、ガソリン車とさほど変わらないのでそんなにうるさくは感じないでしょう。
日常使いや買い物、通勤にも非常におすすめできます。
高速道路ではデメリットもあり
モーター駆動の弱点は高速だと断言します。速度域が高くなると「バッテリーへの充電」が頻繁に行われるため燃費が市街地よりも低下する傾向にあります。
その点では、ノートe-POWERは高速においてはデメリットが生じます。
ただ、走行性能に関しては、硬めに味付けをされた足回りの効果が最大限に発揮されるため安定感が非常に良いです。安心して運転することができます。
e-POWER NISMOとの違いはある?
ノートe-POWERが発売された少し後にデビューしたのがe-POWER NISMO。e-POWERを購入する人の約3割がe-POWER NISMOを選択するそうです。
e-POWER NISMOと標準グレードの違いは「外装」「走行性能」にあります。
NISMOも非常に優れた車ですので、ぜひノートe-POWERとの違いを押さえておきましょう。
e-POWER NISMOはより力強く走りの質が高い
走りについては、e-POWER NISMO専用のコンピュータセッティングをされているので、標準車よりもアクセルワークに対して敏感な反応をします。特に発進時の制御が変えられているため、ゼロからのスタート時に力強さを感じることができます。
また、足回りもe-POWER NISMO専用に変えられていて、より硬めの味付けをされています。これによりコーナリング性能が高められています。
e-POWER NISMOでサーキット走行ができてしまうくらいしっかりとした味付けとなっていることもポイントです。
走りの質にこだわるならNISMOがおすすめ
e-POWER独特のパワフルな走りに磨きをかけたe-POWER NISMOは、スポーツカーに憧れている人でも非常に満足のいく車となっています。
また、NISMO仕様は「赤いドアミラー」が特徴的ですが、これが女性に「かわいい」との評価受けています。
走行性能に興味がなくても、「かわいい外見」でNISMOを選択する人がいるほどですので、人気の高さがうかがえますね。
日産ノートe-POWERの試乗レビューのまとめ!
ノートe-POWER(ノートイーパワー)は日本一売れている車ですが、その凄さはやはり試乗すると実感することができると思います。
大きな強みとしては室内の広さ、走りの質の高さが挙げられますが、改めてメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。
メリット
・コンパクトカーとは思えない室内空間の広さ。
・全グレードが上質なインテリア。
・モーター走行による圧倒的な加速感。
・頑丈で安定した走りが可能。
・静粛性が高い。
・市街地で走りやすく買い物や通勤に最適。
・ワンペダル機能が搭載。
・走りを追求した NISMOも選べる。
デメリット
・フロントシートはホールド性が強く窮屈に感じる。
・リアシート(後部座席)に男性3人だと厳しい。
・雨天時の静粛性は難あり。
・どちらかというと高速より市街地走り向き。
乗り心地、走りともに試乗評価は最高クラスで、ノートe-POWERは一度乗ればやみみつきになる魅力があります。
まだ乗ったことがないという方はぜひ試乗してみて下さい。これまでにない新しい体験ができることは間違いありません。