損害保険ジャパン株式会社(以下「損保ジャパン」)、株式会社ティアフォー(以下「ティアフォー」)、アイサンテクノロジー株式会社(以下「アイサンテクノロジー」)、は、東京大学大学院情報理工学系研究科の加藤 真平准教授の研究室とともに、自動運転システムにより自律走行するレベル4以上に対応した 「自動運転システム提供者専用保険」 (以下「本保険」) を開発した。
自動運転導入事業者が事業に活用する自動運転車に対して、自動運転システム提供者が保険を付保する契約方式は日本初(※損保ジャパン調べ)となる。
このページでは、「自動運転システム提供者専用保険」の内容について解説する。
自動運転システム提供者専用保険とは?
本保険は、自動運転システム提供者を記名被保険者(自動車を主に運転する人のこと)として、自動車保険における対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険・ロードアシスタンスなどの補償を組み込み、提供する保険となる。
自動運転中に発生した事故について、システム提供者の責任として保険の事故対応を進めることで、迅速で納得感のある被害者救済を実現。
自動運転を導入する事業者は、保険手配の負担から解放されるとともに、万が一事故が発生した場合でも、サービスに組み込まれた保険により、幅広い補償を受けることが可能となった。
今後はレベル4自動運転向けの保険・サービスの検証を行い、その後、多方面への展開を目指すものとなっている。
事故原因調査は東京大学の研究成果を活用
事故が発生した場合の事故原因究明については、東京大学の研究成果を活用し、自動運転技術を用いて得られる位置推定や障害物検知などのデータから、事故発生時の状況をハード・ソフトの両面で再現および検証を行う。
専用窓口も設置
今回、「自動運転システム提供者専用保険」が付帯される自動運転サービスの導入事業者に向けた、事故トラブルサポートの実務対応を行う専用窓口を、秋田センター内に新設。
平日から休日夜間まで稼働するコールセンターとして、さまざまな関係者が連携して提供する自動運転サービスの事故トラブル時の対応起点として対応をしていく。
電話での受付対応から始め、ゆくゆくは各種データと連携した対応窓口へと発展させ、サポート内容も拡充させていく計画となっている。
自動運転レベルとは?レベル4が果たす役割
自動運転システムはレベル0〜5までが設定されており、レベル3になると、高速道路内での時速30km以下走行といった一定の条件下で、システムが完全に運転制御を行うことができる。
緊急時にはドライバーが対応しなければならないが、完全自動運転の状態になるのがレベル3となる。
レベル4では、レベル3に加えて時速50km以内という走行という条件がついた上で、高速道路だけでなく一般道でも走行可能となる。このように自動運転レベル4は、完全な自動運転に近い状況になると言えるだろう。
「自動運転システム提供者専用保険」は自動運転普及の大きな一歩となる
自動運転中に交通事故が発生した場合の責任の所在について、現段階では明確な線引きは存在しない。
その時の状況、条件等で判断されるという見解になっているが自動運転サービスの導入を検討する事業者にとっては一つの障壁となっていた。
しかし、今回の「自動運転システム提供者専用保険」が開発されたことで、自動運転中に発生した事故について、システム提供者の責任として保険の事故対応を進めることができるようになるため、自動運転普及の大きな一歩となるだろう。