昨今、ニュースなどを賑わせている煽り(あおり)運転の問題、もし自分が煽り運転さらたらどうしようと不安に感じている方も少なくないでしょう。
このページでは煽り運転に遭わないためにはどうしたらよいのか。
あおり運転に発展する理由や事前の対策、もし煽り運転に遭遇してしまったらどう対応するかについて解説していきます。
目次
煽り(あおり)運転に該当する行為とは?
痛ましい事故やニュースを賑わすような事件も発生し、社会問題となっている煽り運転ですが、明確な定義はありません。
ただし、一般的には次のような行為が煽り運転に該当するといわれています。
あおり運転に該当する行為
- 車間距離を危険なまで縮める。
- ハイビーム、パッシング、クラクションで進路を譲るよう強要する。
- 相手の車両を執拗に追い回す。
- 割り込みし、急ブレーキをかけるなど危険な運転をする。
- 罵声を浴びせかけるなど脅威を与える。
実際のあおり運転の動画は以下をご確認ください。
あおり運転の罰則
- 保守義務への違反
- 暴行罪
- 危険運転致死傷罪
- 免許停止(最大180日)
煽り運転に関する罰則ですが、道路交通法で第26条で規定されている適切な車間距離の保持義務への違反が該当します。
それ以外に、割り込みをして急ブレーキをかける、相手を罵倒するといったような行為には暴行罪が適用されることがあります。
また、煽り運転が原因で不幸にも死傷者が発生した場合、危険運転致死傷罪が成立する可能性さえあるとされています。
そして令和2年6月にはあおり運転の厳罰化を目的として道路交通法が改正されました。
「令和2年6月からあおり運転を「妨害運転罪」として新たに規定。 妨害目的で車間距離不保持など一定の違反行為をした場合は、最大で5年の懲役又は100万円の罰金が科されることに。 また、妨害運転をした者は運転免許を取り消されることとなりました。(政府広報オンライン)
新しい道路交通法では、免許一発停止もありうるなど厳しい内容となっています。
あおり運転をされないための事前対策は4つ
あおり運転に遭遇したら、自分の運転がその原因となっていないかどうかを疑ってください。
その上で、煽り運転への事前対策としては4つの基本ポイントを心がけましょう。
- 高速道路で追い越しを完了したらすぐ走行車線に戻る。
- 常に後方確認し、先に行きたい車には道を譲る。
- 急な車線変更は行わない。
- 不用意なクラクションはしない。
あおり運転は、基本なポイントを押さえておけば被害を大幅にへらせます。
以下では、くわしく解説していきます。
追い越しを完了したら速やかに走行車線に戻る
追い越し車線をずっと走っていたなら、自分では気がつかない内に先を急ぎたい車の進路をふさいでしまっていることもあります。
常にバックミラーで後方を確認するとともに、先に行きたい車を前にいかせるよう、追い越しを終えたら速やかに走行車線に戻るようにしましょう。
なお、追い越し車線は文字通り片側二車線以上ある高速道路で、追い越しの際に一時的に走行するための車線なので、走り続けている(一般的には2km以上)と、道交法第20条3項の「通行帯違反」に問われることもあります。
一車線しかない場所では路地に停車する
一車線しかない山道などで後ろから車が迫ってきた場合には、なるべく早くコンビニやガソリンスタンドの駐車場、あるいは路肩に停車して先に行かせるようにします。
とにかく急がずに、少しでも迫ってきたら先に行かせるようにしてください。
急な車線変更は行わない
急な車線変更を行うことで煽り運転を誘発することもあります。
後続車との距離が詰まっていると相手は割り込みされたと感じ、瞬間的にカッとしてしまうためです。
車線変更を行う場合には必ず車間距離に余裕をもち、後続の車にブレーキを踏ませないように気をつけましょう。
空いている車線を目指して頻繁に車線変更を繰り返すことは周囲のドライバーをいらいらさせ、渋滞を引き起こす原因になります。
また、不用意にクラクションを鳴らすことも相手のドライバーを刺激するため、よほどのことでもない限りは避けましょう。
ここであげた4つの基本ポイントを押さえるだけでも被害はへらせます。何ごとも基本が肝心です。
常に車の流れを確認することが最大の事前対策になります。
実際に煽り運転・危険運転を受けたらすべき対策
どれだけ注意しても、煽り運転・危険運転に遭遇してしまうことはあります。
以下では、代表的なケースを元に対策をご紹介していきます。
後続車が煽ってきた場合
高速道路で後続車が煽ってくる場合、先に行きたいのに自分より遅い車が道をふさいでいるため、前に出られずいら立っているケースが考えられます。
そのため速やかに走行車線に戻り相手を先に行かせてください。
相手が煽ってきたからといって挑発にのって加速して逃げようとするのは逆効果です。
高速道路上での停車は避ける
相手が前に出て自車をブロックし、停車させようとした場合にはサービスエリアなどに逃げ込む、いったん高速を降りるなどして路肩などに停車する事態は避けましょう。
高速道路上での停車はリスクが伴います。先日、常磐道で発生した煽り運転暴行事件のようなケースに発展することも想定されるためです。
高速道路で停車せざるを得なくなった時の対策
どうしても停車せざるを得ない状況に追い込まれてしまったら、必ず窓を閉め、ドアをロックしていつでも発進して逃げられるよう、エンジンは切らずに警察に通報します。
相手がバールなどをもって車から降りてくれば話は別ですが、車のドアや窓ガラスを素手で割ることはできないため、可能な限り落ちついて対応してください。
もし同乗者がいれば、スマホを使って煽られている状況などを動画で撮影します。ドライブレコーダーでは車の側面が死角になりますが、車の特徴やドライバーの顔など、煽り運転を実証する際に有効な証拠となります。
挑発にのったり、怒ったり、パニックにならず、やるべきことを淡々とやりましょう。
イラついた相手が愛車を蹴ったりしてボディが傷ついても、まずはガマン。自分と同乗者を、まずは守ろう。(引用:あおり 殴打されそうになったら、どう対処?)
あおり運転を受けて警察に通報するまでの手順
警察への通報はおなじみの110番に電話です。
一部地域ではwebでの受付も行っていますが、とっさに通報するのであれば電話が有効。
110番は緊急性の高い通報で、連絡するのがためらわれる場合には9110番をかけます。
9110番は緊急性を伴わない相談窓口ですが、内容を確認して緊急性が高いと判断すれば適切な窓口につないでもらえます。
通報にあたっては、できるだけ具体的な情報を伝える
通報にあたっては、煽り運転を行っていた車両の車種や色といった特徴、ナンバープレートに加え、具体的な煽り運転の行為、そして発生場所と煽ってきた車両の向かった方向について聞かれるはずなので、可能な限り記録しておきましょう。
警察に伝える項目
- 車両の車種と色
- ナンバープレート
- 煽り運転の行為
- 発生場所
- 煽ってきた車両の向かった方向
また、対応結果の報告について希望の有無について確認があります。
その際、氏名と連絡先を聞かれる場合がありますが、あくまで連絡用なのでその情報が他に流用されることはありません。
煽り運転を受けたらすぐに通報
通報は煽り運転を受けた後、できるだけ速やかに行いましょう。
時間が経過してしまうと警察でも動きようがなく、実際の調査まで結びつかない可能性が高くなりますが、それよりも煽ってきた車が、その先でさらに他の車に危険行為を行うことも充分考えられます。
重大な事故を引き起こさないためにも速やかな通報をお願いいたします。
実際に通報する人は数%といわれますが、他のトラブルに発展しないためにもすぐに通報してください。
おすすめの煽り運転対策グッズを紹介
何よりもドライブレコーダーが最優先
2017年6月に神奈川県内の東名高速道路において煽り運転が原因で静岡県在住の夫婦が死亡するという痛ましい事故が発生しました。
この事故で、当初煽られたと主張していた加害者の証言をくつがえす証拠となったのが、現場付近を走行していた約260台の車から得たドライブレコーダーの画像です。
このことがきっかけとなって煽り運転対策としてドライブレコーダーの有効性が注目を集め、普及を進めることになりました。
ドラレコは「デュアルカメラタイプ」がベスト
現在はさまざまなタイプのドライブレコーダーが各社から発売されていますが、煽り運転対策用を想定するならば前方だけでは不十分で後方も同時に記録できるデュアルカメラタイプのドライブレコーダーがおすすめです。
Amazonであれば2万円前後で評価の高いものが購入できます。
ナンバープレートの読み取りが重要となってくるのでできる限り高画質のものや、夜間及びリアのスモークガラスに対応しているものがおすすめです。
ステッカーは万能ではないがポイントで使う
なお、リアウインドウ越しだと煽ってくる車側からはドライブレコーダーが付いているのかどうかがわかりづらいため、後ろから煽ってくる車のけん制として「ドライブレコーダー録画中」や「後方カメラ監視中」などのステッカーを、良く見える位置に貼っておきましょう。
ステッカーは必ずしも万能ではありませんが、けん制として有効です。
最後に、あおり運転する人の心理を知っておこう
煽り運転をしかけてくるのは先を急いでいるドライバーで、道を開けてほしい場合が多いと考えられます。
このような場合は、本記事で説明したポイントを押さえておけば問題になりません。
常識が通じない相手がいる
その上で、オートバイや軽自動車・トラックなど、自分の車よりも格下(と本人は思っている)の車に抜かれるとカチンとくるといった幼児性がみられるケースがあります。
さらに煽り運転をするドライバーには自分の運転を過信する、気が短くてすぐにイライラするといったやや自分中心にものごとを考える傾向も見てとれます。
そういったドライバーに煽り運転をされた時には、まず自分自身の運転に非がないことを確認した上で、「君子危うきに近寄らず」という気持ちで対応しましょう。
そして、少しでも身の危険を感じたら、すぐに警察に通用してください。
110番は緊急性の高い通報で、連絡するのがためらわれる場合には9110番をかければ適切なアナウンスが受けられます。
常識が通じない相手には、必ず第三者を通すことが大切です。間違っても話しあって解決しようとしてはいけません。
最新ニュース
以下では、あおり運転に関する最新のニュースをまとめています。
道交法に「あおり運転」 即座に免許取り消し 警察庁方針
警察庁は、2019年12月、道路交通法に「あおり運転」を新たに規定し、事故を起こさなくても即座に免許取り消し処分する方針を固めた。
2019年12月6日の自民党の交通安全対策特別委員会で検討案を説明。
2020年の通常国会での法改正を目指す。厳罰化を図ることで、悪質ドライバーの排除を目指すとしている。
「あおり運転しない宣言」の運動について
現在、自動車運転学校の方が立ちあがり、あおり運転を減らすための運動が行われています。
運動の詳細
→あおり運転しない宣言!
すでに約40校の自動車学校が賛同し、大きな盛り上がりを見せています。
インスタグラムで「#あおり運転しない宣言」と検索すると、さまざまな思いが見られます。
恐ろしいあおり運転を減らすため、ぜひ拡散していただけると幸いです。