世界的な半導体不足の影響などによって、国内自動車メーカーでも一部で納期遅れが生じている。
フルモデルチェンジをして話題をあつめたトヨタ新型「ランドクルーザー」の納期は、2022年1月19日時点の見通しで注文してから4年程度になる可能性についてトヨタ自動車は公表している。
同社の「ヤリスクロス」についても2022年2月4日時点で6ヶ月以上の納期が見込まれるなど、一部で納期が遅れている状況だ。
しかし、その一方でトヨタでも納期が早い人気車も存在している。
例えばトヨタの人気ミニバン「シエンタ」は、工場出荷目途が1-2ヵ月程度となり、爆発的な人気をほこる「アルファード」でさえ2-3ヵ月程度となっている。
なぜ、トヨタの車の中でも、これほどまで納期に差が出るのだろうか?
その「謎」に迫っていきたいと思う。
生産工場の影響は納期の根本的な理由にはならない?
まず、納期が遅れる理由として真っ先に考えられるのが生産工場の稼働状況となる。
減産や工場の一時停止で納期は延びる
昨今の半導体不足の影響で減産したり、新型ウイルスの影響で生産工場が一時止まる事態になれば、必然的に納期遅れは生まれる。
しかし、生産工場の影響というのは実は大幅な納期遅れの理由にはならない。
その根拠として、納期が早い「シエンタ」と、納期遅れが生じている「ヤリスクロス」は同じ工場で生産されている。
納期が早いことで知られる「クラウン」と、2022年にフルモデルチェンジされて一部納期が遅れている「ノア、ヴォクシー」も同じ元町工場で作られている。
同じ工場であっても実は納期に差が出ているケースもあるのだ。
つまり、納期遅れが生じてしまう根本的な理由は他にあることになる。
車の納期に差が出てしまうトヨタらしい理由
トヨタの中でも納期が早い車・遅い車があり、後車をピックアップすると以下の通りとなる。(2022年2月4日時点)
納期遅れが出ている車(2022年2月4日時点)
- ヴォクシー
- ノア
- ハリアー
- ヤリスクロス
- ランドクルーザー
これらの車を見て気づくことはないだろうか?
注目したい共通点としては、近年モデルチェンジやフルモデルチェンジを行っているという点になる。
そして、いずれもモデルチェンジ後に爆発的な人気をあつめて注文が殺到している。
つまりトヨタは車のモデルチェンジによって購買意欲を高めることに長け、急激な需要の高まりを生みだしていることに成功している。
それこそが納期遅れが生じている理由といえるだろう。
代表的な例として、新型「ランドクルーザー」もフルモデルチェンジによって想像以上の人気を獲得し、その結果として納期遅れが生じている。
工場生産の稼働状況の影響はもちろんあるが、それに加えて大幅な納期遅れが生じてしまうのは、当初想定していた供給を上回る需要が発生しているためである。
トヨタで納期で納期遅れが出てしまうのは、それだけモデルチェンジやフルモデルチェンジによって購買意欲を高めることに成功しているためと言えるだろう。
トヨタは時代のニーズをくみ取ることに長けている
近年はさまざまなタイプのSUVを投下
近年、トヨタはRAV4・ライズ・ヤリスクロス・ランクルなど、世界的なSUV需要に合わせて、さまざまなタイプのSUVを投下している。
セダンの象徴であるクラウンもSUV化が予定されている。
またミニバンについても既に成功しているアルファードの特徴である迫力のあるフロントフェイスを、フルモデルチェンジした「ノア・ヴォクシー」に取り入れている。
これらはすべて時代のニーズに合わせた結果だ。
トヨタは時代のニーズをくみ取ることに長けており、一歩先を見る目こそが常に国内で群を抜いた存在であり続ける理由と言える。
EV市場もニーズをくみ取れば勝機あり
トヨタはEV戦略も既に発表しているが、日本国内においてはまだまだ電気自動車は普及していない。
それは日本人のニーズにEVが現時点でマッチしていないためと考えられる。
しかし、日本特有のEVニーズをくみ取ることができればトヨタがEV市場でも成功を果たす可能性は高いと言えるだろう。